税理士が教える!平成26年度税制改正大綱について
1. 税制改正大綱とは
平成25年12月12日に、平成26年度の税制改正大綱が発表されました。
そもそも税制改正大綱とは何かといいますと、税金に関する法律の改正案のようなものです。
税制改正は通常、毎年1月~3月ごろの国会で審議され、可決、公布となり、4月1日に施行というのが一般的な流れとなります。
この国会審議に先立って、政府与党が毎年12月中旬あたりに発表するのがこの税制改正大綱です。
つまり、現段階では、上記の通り改正案の段階ですので、正式には3月末ごろまでに決定されることとなります。
2. 平成26年の税制改正大綱の概要
このページをご覧のみなさまは、ご自宅のリフォームや、中古住宅のご購入をお考えの方が多いかと思いますが、今年の税制改正大綱のうち、リフォームや中古住宅に関するものは、以下の通りです。
◆ 中古住宅取得後に耐震改修をした場合の各種特例の適用
◆ 一定の増改築をした中古住宅の登録免許税の軽減措置
以下、各項目について、解説させていただきます。
3. 中古住宅取得後に耐震改修をした場合の各種特例の適用
税制上、住宅の取得に関しては、様々な特例がありますが、中古住宅の場合、新築のものと比べ、すこし要件が厳しくなっており、新築住宅の要件に加えて、次のいずれかに該当しなければなりません。
<各種特例とは?>
◆ 住宅ローン控除
◆ 住宅取得等資金の非課税(平成26年中は610万円まで非課税)
◆ 住宅取得等資金の相続時精算課税の特例
◆ 不動産取得税の課税標準の特例
<中古住宅の要件とは?>
(1) 建築後の年数が次の年数以内であること
・耐火建築物(主に木造以外) ⇒ 20年以内
・耐火建築物以外(主に木造) ⇒ 25年以内
(2) 住宅取得等資金の非課税(平成26年中は610万円まで非課税)
(3) 住宅取得等資金の相続時精算課税の特例
このうち(2)の要件に着目していただきたいのですが、この耐震基準については、既に満たしているものでなければ適用を受けることができません。
つまり、中古住宅を取得した後に、耐震改修工事を行っても、各種特例の適用が受けられないというのが、現在の状況となっております。
この点が今回の税制改正大綱で、取得後に耐震改修工事をしても、住宅ローン控除の適用を受けることができるようになりました。
ただし、次の要件を満たしていることが必要です。
(1) 取得前に、耐震改修工事の申請をしていること
(2) 住み始める日までに、耐震改修工事が完了していること
つまり、耐震改修工事自体は、中古住宅取得後でもいいのですが、取得前に工事の申請をしておかなければならないため、どちらにしても、事前の対応が大切です。
(注) 不動産取得税の課税標準の特例については、税制改正大綱の文章では、(1)の要件の記載がありませんが、おそらく同様の内容という理解で問題ないものと思われます。
4. 一定の増改築をした中古住宅の登録免許税の軽減措置
ⅰ. 現在の税率
現在、中古住宅(建物)を取得し、その登記をした場合の登録免許税は次のようになっています。
◆ 原則 ⇒ 2.0%
◆ 特例 ⇒ 0.3%
※両方とも、固定資産税評価額に対して、かけられる税率です。
ⅱ. 改正の内容
次のような順序で、中古住宅の売買が行われた場合は、登録免許税の税率が0.1%になります。
売主 ⇒ 宅建業者 ⇒ 一定のリフォーム ⇒ 買主
つまり、個人間で直接売買をせず、一度宅建業者が買い取り、一定のリフォームをした後、エンドユーザーに販売する場合ということです。
また、この一定のリフォームについて、税制改正大綱では明らかにされておらず、詳細な内容は不明ですが、ただ単に壊れている個所を修繕する程度のリフォームではなく、何かしらの質の向上が図られるリフォームに対して適用が受けられるものと考えられます。
ⅲ. 特例について
上記ⅰに、「特例⇒0.3%」という記載がありますが、この特例はどのような場合に受けられるかといいますと、上記「3.中古住宅取得後に耐震改修をした場合の各種特例の適用」の(中古住宅の特例とは?)のところにある要件を満たせば、適用が受けられます。(他にも床面積50㎡以上、取得後1年以内の登記であることという要件があります。)
つまり、この固定資産税の特例についても、その要件は他の各種特例措置と同じなのです。
しかしながら、今回の税制改正大綱では、この固定資産税の特例にないようです。
これが単なる記載漏れなのか、あるいは本当に緩和されないのかは今のところ不明ですが、税制改正大綱はあくまで改正案ですので、今後の実際の法律の成立には注意していく必要がありそうです。
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