新しい生活様式に対応した換気設備や、バリアフリーにも注目
前回に引き続き、これからのご夫婦お二人の新しい日常を迎えるにあたりそれぞれの老後に備えたリフォームについての検討を始めたみなさまが、計画を検討するときのポイントをお伝えします。
新型コロナウイルス感染対策とした換気設備は検討しましょう!
住宅については、2003年7月以前の窓がない居室には居室の有効開口面積に応じた換気設備。2003年7月以降の居室には建築基準法の改正によりシックハウス対策として、原則として全ての居室に換気設備が設置されています。また、一般の換気設備は換気量の調整のために複数のノッチがあります。特定のノッチで法適合の風量となっている場合が多いことから、換気設備の取扱説明書など確認して、より大きな風量で運転できるよう調整します。また、換気方式として排気用の換気扇や壁付け式換気設備が取り付けられている場合は、給気側への配慮が十分でない場合があります。
そのため、給気用の小窓や換気シャッターの開放を確認。あわせて埃などによる目詰まりがないか点検。必要に応じて窓をあけるなどを実施しましょう。
参照:2020年4月8日 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 換気設備委員会 「新型コロナウイルス感染対策としての空調設備を中心とした設備の運用について」
続いて、静止形全熱交換器(熱交換型換気扇)の場合、熱交換素子を経由したウイルスの漏洩リスクは少なく、外気と排気の漏れによる漏洩も5%程度と小さいことから、熱交換モードでの運転は問題ないと考えられています。処理風量を増やして有効換気量が大きくなる運転モードについて、取扱説明書などで確認して、適切な運転モードを設定しましょう。
トイレからの拡散にも注意
新型コロナウイルスの感染は、感染者が居住する室内表面は広範に汚染されますが、適切な消毒クリーニングで汚染は除去されます。
ただし、ウイルスを含むエアロゾル粒子はウイルスが活性した状況で排気口まで移動します。これは、みなさまご存じの通り十分な換気を行うことでその気中のウイルス度は効果的に希釈されます。ただし、感染者の排便が感染経路となりえる可能性があることが想定されています。これは流した時に、トイレ空間や排水管の内に発生するトイレプルーム(※)に、ウイルスを含むエアロゾル粒子があって感染する可能性が感がられるからです。
※トイレプルーム:水洗トイレを流す場合、この糞便の微細な粒子「エアロゾル」の約60%が空気中に漂い、便座の上部に上昇すること
新型コロナウイルス感染者の便中にも、活性のあるウイルスが検出されております。調べた限りでは、便経由の感染を示す証拠は今のところはないとはいえ、感染者が排便して洗浄する際、ウイルスを含むエアロゾル粒子が発生。トイレ室内を汚染すること、室内を漏れ出て感染を引き起こす可能性はありえると考えられています。
段差のバリアフリー対策はもはや常識。これからは《温度のバリアフリー》
50代以上の方々が家づくり、リフォームご計画についてお話されるとき、ほとんどの方々は《バリアフリー》を検討しています。ただ、お話を詳しく聞いていくと《バリアフリー》といって、段差のバリアフリー対策。現在では、浴室も含め段差のバリアフリーは、ほぼ標準仕様といっても過言ではありません。
これからのセカンドライフリフォームで重視しなければならないのは、《温度のバリアフリー》です。
自動車の安全対策が進み、交通事故で亡くなる方々は年々減少している一方室内(浴室など)でお亡くなりになる方々はどんどん増えるばかり。
この原因は、室内における温度差といわれています。たとえば、寒い脱衣所で服を脱いで、熱いお風呂に入る。その温度差は数十度にもなります。現役時代であれば平気でも、加齢が進み暑さ・寒さに弱くなった現在。その温度差に耐えることはできるでしょうか?
《ヒートショック》と呼ばれる、温度差による身体の不調。死亡事故以上に怖いのが、ヒートショックが原因で脳や循環器に起きる障害です。大半の方々は、この障害が起きると麻痺などの症状が起きてしまうことから残されたパートナーにかかる介護負担は、想像を絶するものがあります。
このようなことを避けるためにも、麻痺などの症状が起きてから対策する段差のバリアフリー対策ではなく、予防としての温度のバリアフリー対策がより重要になります。
セカンドライフリフォームのまとめ
50代を超えると家で過ごす時間が増えてきます。家で過ごすとき、どんな空間にすると心地よく過ごせるか。という視点で考えてみると、自ずから優先順位が固まってきます。
以下、リフォーム優先順位を絞るにあたっての考え方の例をご案内します。
(1)ライフスタイル
(2)インテリアデザインと素材へのこだわり
(3)断熱性能と換気性能
(4)温度のバリアフリー対策