中古住宅を探す際に重要な『用途地域』
今回は、中古住宅の物件情報を確認するときに必ず見る《物件概要》のなかでも、特に重要な『用途地域』について解説します。
『用途地域』は物件周辺の環境を把握する重要情報
『用途地域』とは「計画的な市街地を形成するため、用途に応じて13地域に分けられたエリア」のことです。各々建てられる建物等の種類や大きさなどが制限されていることから、地域毎に住み心地や暮らしが異なります。
『用途地域』13地域は大きく分類すると3つにわかれます。
(1)住居系
『用途地域』13地域のうち 8地域が「住居系」に分類できます。この8地域のいずれかに指定された区域は、基本的に大きな工場や商業施設を建てることができず住環境が優先されている用途地域です。
(2)商業系
『用途地域』13地域のうち2地域が「商業系」になります。大勢の住民が買い物や遊びなどで訪れる商業施設などが立ち並ぶ地域です。
(3)工業系
『用途地域』13地域のうち3地域が「工業系」です。主に工場の利便性を高める地域です。
計画的な市街地を形成するために、『用途地域』13地域ごとに建物への制限が設けられています。たとえば、建ぺい率や容積率が各々異なります。
住宅系『用途地域』の特徴
『第一種住居地域』は、建ぺい率が50%・60%・80%、容積率は100%~500%。そのため『用途地域』によって建てられる延床面積が異なります。また、同じ「低層住居専用地域」でも『第一種低層住居専用地域』では基本的にコンビニは建てられませんが、『第二種低層住居専用地域』は建てられます。ほかにも、「中高層住居専用地域」「住居地域」は第一種/第二種がありますが、第一種より第二種のほうが住宅以外の建物を建てることができます。
そのため同じ「低層住居専用地域」だとしても、『第一種低層住居専用地域』は静かな住宅街で、『第二種低層住居専用地域』は近くにコンビニがあって便利など、住み心地に違いがあります。
商業系『用途地域』の特徴
商業系は、「近隣商業地域」と「商業地域」の2つに分類されます。住宅を建てることもできますが、商業施設などが優先されます。
まず、『近隣商業地域』について
まわりの住民が日用品の買い物などをするための地域。この地域では、店舗や事務所、劇場や映画館などに床面積の制限がありません。また床面積150m2以下で危険性がなく環境を悪化させる恐れがない工場も建てられます。つまり、『近隣商業地域』は生活利便性が高い反面、住宅地域と比べて人や車の往来が増えて騒々しくなります。そのため生活利便性を重視し、日中はあまり家にいない人に向いています。
つぎは、商業地域について
近隣商業地域よりさらに緩和され、銀行や映画館、飲食店、百貨店などが集まることを目的とした地域です。風俗施設や小規模な工場も認められています。ターミナル駅の周辺部などが指定されることが多いです。
工業系『用途地域』の特徴
『工業系』は主に工場などが優先されますが、『工業専用地域』を除いて住宅を建てることができます。
『準工業地域』は、主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域。危険性や環境悪化が大きい工場を除き、ほとんどの工場が建てられます。住宅やホテル、ボーリング場、映画館、病院、教育施設なども建てられます。
工場で働く人のため店舗もできることから、生活利便性があります。小学校などの教育施設も建てることができるので、地域内の工場に勤めているご家族にも向いています。
『工業地域』は、どんな工場でも建てられる地域です。住宅や店舗も建てられますが、ホテルや映画館、病院、教育施設などは建てることができません。『工業地域』は、主に湾岸地域が指定されていることが多く、たいていは高層マンションが建ちます。
最後に『工業専用地域』について。『工業専用地域』は工場のための地域です。どんな工場でも建てられますが、住宅を建てることはできません。
用途地域は、住宅が建てられるの12地域ごとに街の景観やにぎやかさ、利便性などがそれぞれ異なります。インターネットでも調べることができます。自分の理想とする暮らし方を踏まえ、理想の暮らしに合う用途地域かどうかよく検討することが大切です。