築30年超の戸建住宅をリフォームする場合のポイント
今回は、築30年を超える住宅をリフォームする際のポイントをお伝えします。
防災面、特に耐震性の確認が最優先ポイント
建物の構造に関わる基礎や土台、柱や梁などは、外から見ただけでは判断できない場合がほとんどです。
特に、在来浴槽の場合、外見では異常がないように見えたとしても、浴室を解体してみたら、シロアリの食害が進んでいたり、土台が腐朽している場合があり、まったく油断できません。
天井裏を確認してみたら、長年の雨漏りで部分的に腐朽していたり、壁をはがしてみてら、長年の結露の影響で窓枠の下が部分的に腐朽していた、ということも。また、構造に大きな影響を及ぼす場所ではありませんが、キッチン廻りの床鳴りの原因を調べてみたら、長年の水仕事からくる床板の痛みや、床板すぐ下にある部材(根太)が傷んでいたこともありました。
このように、一見問題がなさそうに見えても、内部に傷みが生じていたり腐朽が進んでいる可能性があります。
構造・防水に関わる部分は、素人判断では危険なので、専門家に診断してもらうのが良いでしょう。
また、多くの市区町村では1981年(昭和56年)以前の旧耐震基準で建てられた住宅に対して耐震診断に関する補助制度を実施しています。耐震診断に関する補助制度を利用することで、大きな負担もなく診断してもらえます。
その結果、「耐震補強の必要あり」となったときには、耐震リフォームのための費用の一部を補助してくれる市区町村もあります。
あわせて、現在かけている火災保険についても、築年数の経過とともに、評価額が大幅に下がっていることから、火災保険契約の見直しとともに、浮いた保険料は【地震火災費用保険金補償特約】を追加して地震に備える(本震発生から72時間以内に発生した火災は火災保険の補償対象にはなりません)、ならびに建物付属設備等の電気的・機械的事故補償特約(建物に付属した所定の機械設備等の故障により生じた損害を補償。特約付保には所定の条件があります)の追加をあわせて検討しましょう。
30年前は断熱性に関心が少なく、現在の仕様と合っていないたえめ、断熱性・気密性の改善も重要
昔の建物、特に木造一戸建てにおいては、築30年以上経過すると窓の建て付け精度が悪くなってきたり、建てたあとに発生した大きな地震などの影響により、屋根や壁のすきまからすきま風が入りやすくなります。
また、建てられた当時は、住宅の断熱性能を気に掛ける方々がほとんどいなかったため、適切な断熱材の施工がなされておらず、夏は暑く冬は寒く、高額の冷暖房費がかかります。その結果、結露が生じてカビやダニが発生しているところが多く見受けられます。
そこで、リフォーム時に断熱材を厚く敷き詰め、窓を二重サッシや高性能なサッシ(Low-Eガラス+樹脂サッシ)などに取り替えることで、断熱性や気密性が高まります。
断熱性能・気密性能を向上させるには、ある程度の費用はかかりますが、生活の快適度が上がり、年間の光熱費も削減できます。
配管・配線はリフォーム時に取り替える
水道や下水の配管も年月の経過とともに傷んだり、流れが悪くなっていることがあります。放置しておくと、水漏れにつながり建物の寿命を縮めることになりますので、リフォーム時に取り替えることをおすすめします。
電気配線も同様です。昔よりも電力消費量の多い家電製品が増えたのに、電気配線が昔のままだったり、タコ足配線になっている場合もあります。意外に知られておりませんが、屋内電気配線には寿命があります。
※技資第107号 電線・ケーブルの耐用年数について
平成元年6月 社団法人 日本電線工業会 絶縁電線専門委員会
寿命を迎えたケーブルを使い続けると、何らかのきっかけで漏電が発生したり漏電部分から火災が発生する可能性があります。よって、リフォーム時には忘れずに配線を新しくするとともに、壁の中に組み込むなどして、安全性を高めつつ見た目をスッキリさせましょう。